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月明かりの射す静かな庭

noblemoon.exblog.jp

ECOのフリージアサーバに生息中。現在の企画→ECO小説<運命の赤い糸>

アルマの樹 12 後編

嘘みたいだろ……もう2月なんだぜ……


これで一応、去年のアルマイベントのショートストーリーは終わりです。

あとは13話目に後日談を軽く描いて終わります。



今年の通年イベントであるロアイベントは、ショートストーリーにする予定はありません。代わりに、停滞しまくっている運命の赤い糸が再始動する……といいな(



〇登場人物

・アレア=レフィス

去年の守護魔騒動に引き続き、アルマ騒動に巻き込まれた元冒険者の少女。
面倒事は嫌いなのに頼み事はなかなか断れない難儀な性格のためか、2年連続で厄介ごとに巻き込まれている。
冒険者時代に右肩を負傷し、現在右腕が動かない。利き腕ではない左腕で剣を振るうが、それでも並み以上の実力である。

アルマ学校では家庭科の先生として、アルマたちに裁縫や料理を教えた。とくにダークフェザーは最初の生徒だったこともあり、アレアによくなついていたようだ。
だが、アルマ学校が本格的にスタートすることを機に、先生を辞めることになった。


・エニア=セレラル

アレアにつき従っているタイタニアの少女。
その正体は、タイタニア界を震撼させた魔女の一人。東に広がる広大な森の主。東の黒い魔女、冥界の姫とも呼ばれる。冥界の王と契約した唯一の魔女であるため、すべての死神は彼女に従う。
タイタニア連合国発表の危険度指数は『出会ったら即諦めるレベル』。ちなみに、これは最上位から2番目のランク。

天上天下唯我独尊の女の子。お気を付け下さい、彼女はドSです。
自分を守ろうとしてくれるアレアを慕っている。これまでタイタニア界では問答無用に恐れられてきたため、家族のように接してくれるアレアは彼女にとって本当のお姉さんであるようだ。


・セイ・アレイ=ディアーティア

タイタニアの少年。結構昔から冒険者をやっているようで、知識は豊富。
エニアがぼけることが多いので、ツッコミに回ることが多い。

アルマ学校では特に先生ではなかったが、いろいろな知識を持っているせいか、シーホースには気に入られていたようだ。

・アーシィ=レフィス

アレアの双子の妹。以前は姉を憎んでいたものの、諍いは決着し今はいいお姉さん子。
いわゆる頭がお花畑な人。基本的には幼い性格。よく言うと無邪気。悪く言うとかまってちゃん。

実力は姉の全盛期と同等であるため、かなりお強い。
現在は引退した姉に代わって冒険者稼業をやっているので、アルマ学校とはあまり関わりはなかった。同じ宇双子のカミアカンナとは仲がいいらしい。

アルマの樹 12 後編


〇アミスの飛空庭にて

ロウゲツ:お疲れ様でした、姫様、賢人殿、お姉さま。どうぞ、温かい紅茶が入っております。

アレア:ありがと

アーシィ:ねええさああああああああああああああああああああん

セイ:アーシィ……なんだ、起きたのか

ロウゲツ:皆様が出発した後にお越しになられましてね。

セイ:んじゃ、始めるかね

デス:タイタニアの賢人の力……お手並み拝見と行こうか

セイ:熊島で集めた思い出もそうだけど、みんなからも直接協力してもらうから。全員、ぷるぷるとの今年一年の思い出を思い浮かべてね

ダークフェザー:ぷるぷる……思い出して

バウ:ぷるぷるちゃん、また一緒に遊ぶです!

シャボタン:わたしたちは、ぷるぷるちゃんのことけっして忘れないよ!

ローキー:そうなのじゃ、ぷるぷるが私たちを忘れても、私たちは覚えているのじゃ!

バルル:人のおせっかいばかり焼いて、たまにはこっちにも世話焼かせろってんですよ。

シーホース:あの、あの……ぷるぷる様が思い出してくれないと、さびしいです……

ペペン:思い出してほしいです! アイスを一緒に食べたですよ!

サラマンダー:あのときは追いかけられてたけど……今度は、こっちが追いかけるよ!

ミニー:そうですそうです! お説教してくれたこと、忘れないでよぅ!

白い使い魔:今までのお礼を言おうにも、忘れられてしまっては困ります……

オートメディック:このままじゃ、みんな寂しい。アタシも……寂しい、だからさ。

デス:さぁ、ぷるぷる。そなたは今恐れているだろう? 見知らぬ者たちが自分を知っていること、見知らぬものから理由も分からずに好意を向けられることに。

デス:そなたが何をしていたのか、余もそれは分からぬ。しかし……友と過ごした自分の一年を否定するものでもないだろう?

アミス:ぷるぷる……あなたはこの一年で、私の親友というだけじゃなくなったの

アミス:あなたには、私以外にもこんなにもいっぱいの心配してくれる友達がいる。

アミス:私のお自慢の生徒たちはね、たとえモンスターだからって、何の心配もないの、きっと、うまくやっていける。だから……私もあなたも、もう、二人だけじゃないの。

ぷるぷる:……

アレア:私も去年おんなじようなことになったけど、忘れられるというのも嫌なものね。早く思い出して……

エニア:……まぁ、私自身はどうでもいいんだけど……姉さんがこんなにも悲しんでいるんだから早く思い出しなさいよね!!

アーシィ:なんかよく分かんないけど、忘れられちゃうのは悲しいな……

セイ:バラバラの記憶を手繰り寄せ、一つの道を作っていく。さぁ、思い出せ!

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ぷるぷる:……!? ……ぷる。……! ぷるぷるっ!?

アミス:ぷるぷる!

ダークフェザー:! 聞こえた! 今の、私の名前よ! ぷるぷる、思い出してくれたの!?

デス:ほぅ……関わり合いの深い他者の記憶をパズルのピースのように使い、失われた記憶の再構成を果たす……か、興味深い……

アミス:みんな、ありがとう。ぷるぷる、今までのこと、思い出したって……絆の樹が、最後に少しだけ力を貸してくれたって……

セイ:ふぅ、まぁなんとかかんとか

アミス:人の姿になるのは無理そうだけど、それでも、みんなと過ごした一年が取り戻せたもの。本当によかった……

デス:ふむ、姫さまもいらっしゃることだし余もしばらく、この学校に世話になるとしようかな

エニア:(;´Д`)え?

デス:お父様からも、姫様があまり無茶をしないように監視しろと仰せつかっておりますゆえ

エニア:(;´Д`)マジカ

セイ:……

アミス:さぁ! ぷるぷるも元に戻ったことだし、授業を始めましょう!

ロウゲツ:……お待ちください。アミス先生、ぷるぷる様……ご自分の心を偽るのはもうおやめください

スモモ:二人とも、こう思ってるでしょ。確かに、命は助かった、記憶も取り戻せた。それで十分だ……だから、これ以上を望んではいけないって。

スモモ:確かに、助かっただけでも結構幸運なことだとは思うよ。でも、もっと幸せになってもいいの。みんなだって、きっとそう思ってる。

アレア:……セイ君

セイ:幸い、ここにはネコの姉妹と俺たちと、守護魔もアルマも全員揃ってる。絆の樹の力も使えば何とかなるかもしれない。

ぷるぷる:……

アミス:ぷるぷる……。そう……そうよね。私が、逃げていたのかも……目をそむけていたのかもしれないわね……

アミス:私からも、お願い。ぷるぷるの力を取り戻すため、あと少しだけ、みんなの力を貸して!

ロウゲツ:もちろんでございます……ねぇ、みなさん?

ダークフェザー:うん……!

バウ:もちろんです!

シャボタン:ぷるぷると先生とためだもの!

ローキー:当然じゃ!

バルル:仕方ありませんね

シーホース:はい……!

サラマンダー:おう!

ミニー:そうですそうです!

白い使い魔:はい……!

オートメディック:もちろん

デス:さぁ、樹よ、見せてくれ。我々はいったい何者で、何のために生み出されたのか。何ができるのか、何をなすべきなのか、可能性の、その先を……

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ロウゲツ:さぁ、行きますよ! 皆様!

ムツキ:さぁ、みなさん! 自分の力をあの樹に向けて!!

フミツキ:いっくよー! げんきになーれ!!

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ブラン:あらあら、困りましたね。私たちも手伝ったほうがいいかもしれません

シャノワール:……しかし、いま力を使うと、絆の樹の開花に合わせて門を開く予定が……しかし、このままだとぷるぷるだけではなく、アルマたち全員も危険か。

ブラン:……あなたが私たちのことを第一に考えてくれているのはみんなよく知っていますよ。だけど……ちょっとくらいの寄り道は、私たちのご主人様だって笑って許してくださいますよ♪ だってあの人は……よく似ていますから

スモモ:そうそう、それに、あの子たちを危険な目に合わせて帰っても、みんなうれしくないよね?

セイ:やっぱりお前ら……

スモモ:あれ? 言ってなかったの? 私たちはこの世界とよく似た別の世界から来たネコマタだよ♪ この世界のネコとは違って別に絶滅もしてないし、いろいろあってこんな姿になれるけど、たぶん似たようなものかな?

シャノワール:お、おい……そんな簡単に。万が一、この世界の自分たちと重なり合った場合、どんな影響が出るかわからないといっただろう?

スモモ:誤解されたままなのも嫌だし……タブン平気かなって。私たちの御主人も、大体これで人生生き延びているから……きっと平気だよ!

シャノワール:ふぅ、全く……その通り、私たちは別の世界の住人で……ちょっとした事故でこの世界に流れ着いた。私たちの目的は二つあった。家族が再び合流することと、そして、元の世界に帰る事。

セイ:……

シャノワール:元の世界に帰る鍵となるのがこの樹……君たちが絆の樹と呼ぶ複数の世界を渡る不思議な植物だ。詳しい理由は分からない、どこの世界の生まれかも知らない。ただ、この樹は花を咲かせると、他の世界につながるんだ。

シャノワール:もしかしたら、この樹自体が自分の故郷に帰りたいのかもしれない。単純に、自分の住処をいろいろな世界につなげたいのかもしれない。わからないが、この樹を利用すれば他の世界につながるときに、自分たちの元板世界につなげることができる……それが狙いだった。

デス:この学校を利用していたのか。なるほど賢いな。だが、さほど悪意はないようだな。

シャノワール:まぁ、な。絆の樹の開花時期にこの樹の傍にいることができればそれでいいんだ。だから、この学校と、樹の育成に重要そうだったアルマたちをそれとなく守るのは、べつに目的に反しない……それに、なんだ、その……

ブラン:シャノワールお父さんは、父性本能がつよいですから~♪ ダークフェザーちゃんや、他の子を見て、守ってあげないと……って思ってたんでしょ?

スモモ:来たばっかだけど、私も賛成! みんな、いい子だよね。デスも口は悪いけど、なんだかんだ言ってお人よしなところあるし♪

スモモ:それに、きっと大丈夫! 向こうの世界でも、ご主人が今頃、こっちに来るために頑張ってるよ! 信じているから、今回がダメでも別に気にならないの!

カスミ:姉さんたち、準備できたわ……あの子たち、きっと幸せになってくれるわよね。

ヘタレー:よっし、がんばるぞー!

マオ:よっし、がんばれよー! って、私もか、うっし、いくぞー!!

デス:ぷるぷるよ、新しきわれらアルマの仲間、プルル・アルマよ! みんなの思いを受け入れよ。そして、自ら願うのだ……幸せになりたいと!

ぷるぷる:……!

デス:……ためらいおって、頑固な奴だ!

セイ:よし、とりあえず始めるぞ。要領はさっきと同じだ。

オートメディック:ぷるぷる……アンタ、一途だよ。あたしよりよっぽど。あたしはようやく自分の心を知って、だま、よちよち歩きみたいなもんさ。あんたを見習いたいんだ。あんたみたいに、誰かを信じる強い心がほしいんだ。だから……しっかり前を向いてよ!

白い使い魔:あの時、一番初めに私を見つけてくださったのは、あなたとセイ様でした……あなたはいつもみんなの後ろでこっそりお手伝いをしてくれて……私はみなさんと出会えて、仲間と幸せをもらいました。おじい様とおばあ様から、たくさんの愛を頂きました。だから、今度はあなたに、みんなに慈愛と絆と幸福を!

ミニー:あの、あの……最初はそりゃ、何だこの子って思ったのは事実なのよぅ! でも、ミニーのことを心配してくれてたって分かって、そこからこの子は信じられるって思ったの! 今だって、これが正しいやり方か自信はないけれど、ミニーも、みんなも、二人に幸せになってほしいって思ってる! これだけは、絶対間違ってないもの!

サラマンダー:もう、私たちは他人じゃないよね! 私、二人が心配だよ? 二人とも、もう無関係じゃないよ! 二人を心配している人は、ここに、こんなにいっぱいいてくれるんだよ? わたし、もっと勉強する。みんなの手助けができるように、みんなと仲良くできるように……だから、だから……!

ペペン:ペペン、アミス先生とぷるぷるさんがずーっとうらやましかったです。このがっこうにくるまで、ペペンは一人ぼっちでした。ずっと一緒にご飯を食べられて、いいなーって思ってました。でも、人の体になって一緒に食べると、ご飯はきっと、もっとおいしいです! アミス先生とぷるぷるさんは、まだ一緒にご飯食べてないです! それを実現するためなら、ペペン:、張り切っちゃいます!

シーホース:人であるということは、他人に従うことだと思っていた私を救ってくれたのは、学校の皆様と、お二人の教えてくれたことでした。自分で考え、決断すること。それが大事なのだと。幸せの形は、いっぱいあってどれが正しいのかはわかりません。それでも、このままでは本当の幸せには届かないことは分かります。ぷるぷる様、私も、あなたも人なのですから……

バルル:私が思うに、ぷる子はあまりにいい子すぎると思うんですよ。そりゃ、アミス先生の一番の生徒で、あたしたちの模範となる子ですし。おせっかいだな、と思っても別に嫌じゃねーです。でも、今のぷる子はダメです。アミス先生のことを思ってか、こんがらがってます。先生もです。二人は親子ってわけじゃねーですけど、一方的に世話するだけじゃねーんです。親は子を、子は親の幸せを願うのが当たり前なんです! ……それを教えてくれたのは先生とこの学校のみんなじゃねーですか……

アレア:……

ローキー:こんなに困った顔の二人を見るのは、ここに来てから初めてじゃのじゃ。人のことを知りたくて、いろいろと学ばせてもらってけど、アミス先生にもぷるぷるにも知らないことがあったのじゃな……わたしから一つ授業なのじゃ。先生もぷるぷるも、私たちにたくさんの愛情を注いでくれておる。だから……私たちからも、二人にはたくさんの恩返しがしたいのじゃ♪ ほれ、遠慮はいらんのじゃ!

シャボタン:あの……あのね、まだ、私もうまく言えないけど、ぷるぷるちゃんは我慢しすぎなの。アミス先生のため、学校のため、みんなのため……たぶん、その中に自分のためが入っていないように見えるの。だから、もっとあまえていいの。もっと、泣いても笑っても怒ってもいいの!

バウ:アミス先生とぷるぷるちゃんは今とっても疲れてるです、でも、それはぼくたちや学校やあの絆の樹を守るためで、来年も頑張るために頑張っています。でも、それで倒れるのは悪いことです。みんながこわいこわい気分になります。僕は昔、やっていいことと悪いことが分からないバカなバウでした。でも、みんなに教えてもらって、ちょっとだけわかってきました。幸せになりたいと思うのは、やっていいことです。じぶんだけ不幸でもいいと思うのは、やっちゃいけないことです!

ダークフェザー:アミス先生、ぷるぷる……受け取ってよね。これが、私たちからの精いっぱいの……『ありがとう』


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デス:ぷは! 危ない危ない……力の使い過ぎで変身がとけてしまった。とはいえ、数が多かったからここの負担はそう多くない。みんな、無事のようだな

ぷるぷる:ばかっ! みんな、無茶して……! 本当に、本当に不安だったんだから! もし、これで誰かがアルマの姿に戻れなくなったりしたら……私……私……

アミス:ぷるぷるっ! よかった……やっと会えた! 本当に、本当に……無事でよかった……元気になってくれて、よかった……

ぷるぷる:アミス……もう、アミスは先生なんだから、そんな顔しちゃダメダヨ! ……でも、ありがと。ただいま、みんな!

スモモ:よかったね~! ……って、あれ? みんな、見て! 絆の樹のところ! あの隙間……誰かいる! あれ……ご主人だ!

セイ:……

????:……

ロウゲツ:あそこだけ魔力が……これが絆の……おお、絆の樹の花が……

デス:ほぅ……これが絆の樹の魂の色か……なかなかに美しい

アーシィ:わー! はなびらだー!(*´▽`*)

エニア:……ふーん、きれいじゃない

アレア:……

ぷるぷる:うん、今ようやく分かった。この子はもとの世界に帰りたがっているわけじゃなくて、自分が一緒に暮らせる新しい世界を探しているんだって

ぷるぷる:もともと、火との思いの力を受けて成長する子だから、誰もいない世界では生きていけないんだって

ロウゲツ:……面白い、というだけで済ますには影響が大きいかもしれませんね。これは、詳しく調べてみないと……この樹自体が悪意あるものではないということが確認できただけでも、まぁ、良しとしますか

ぷるぷる:うん! この子もこの学校でもっとこの世界のことをいろいろと学びたいって! 来年も楽しみだね!

アミス:そうね……将来のことを考えるのが先生の仕事だものね。

ぷるぷる:アミス……?

アミス:アレア、お願いがあるの

アレア:……

アミス:ぷるぷるを……一緒に連れて行ってあげることはできないかしら?

ぷるぷる:アミス……!?

アレア:……

アミス:こうすることが本当に正しい事なのか、私にはわからないわ。でも、これからのことを考えるとこうするのが一番だから

アレア:……二人がいいのなら、私は別に構わないわ。

ぷるぷる:アミス……どうして? やだよ、あたし、ここにいたいよ! 私が嫌いになったの? 何か悪いことした? ねぇ、アミス!

アミス:ぷるぷる……本当は私だってずっとあなたと一緒にいたい……でも、あなたは私の陰じゃないの

ぷるぷる:でも……でも! ずっと一緒にいたじゃない!!

アレア:……

ぷるぷる:ずっと一緒にご飯食べて、お風呂に入って、お布団で寝て、一緒に笑って、勉強して……

アミス:それでも……それでも、あなたはあなた。私のために生きているだけじゃ、きっと、だめなの。あなた自身の幸せを追いかけて……幸せになる事を、受け入れて。

アレア:……いいのね?

アミス:辛くないと言ったら、嘘になるわ。だけど、私もあなたも、ずっと長く、一緒にいることを当たり前のように思っていたから……お互いに、卒業しなきゃ、ね。

ぷるぷる:やだよ、そんなの……アミスを置いていくのも、アミスに置いていかれるのも私……やだ……

アミス:ぷるぷる……アレアなら大丈夫よ。一緒に冒険へ行って、この学校じゃ勉強できないことを学んできて。

アレア:……

ぷるぷる:アミス……

アミス:あなたには、もうこの学校で教えることは何もないわ。でも、だからと言ってあなたは先生になれるほど経験や実力があるわけじゃない。もっと世界を見て回っていろいろなことを知って……またここに戻ってきて頂戴。

ぷるぷる:……

アミス:わたしにはこれ以上、あなたの先生でいることはできない……だから、私から卒業しなさい、ぷるぷる。

ぷるぷる:……

アミス:これが私の最後の授業よ、ぷるぷる……あなたは将来、何になりたいのかしら?

ぷるぷる:……わたし、わたしは学校の先生になりたい! 世界中を冒険して、アレアにいっぱい教わって、もっとすごくなって! 絶対にこの学校に帰ってくるわ!! 先生として……帰ってくるから!!

アミス:うん、待ってる。ずっと待ってるから。私がおばあちゃんになっても、あなたを待っていてあげる。だから……卒業、おめでとう。

アレア:……

アミス:アレア、勝手なお願いになっちゃったけど、この子をよろしくね。私の大事な……お友達。

アレア:冒険者なんて、所詮は便利屋よ。まぁ、それでも付いてくるというのなら……びしばし鍛えてあげるわ。

ぷるぷる:アレア……えっと、あはは……なんだか改まると恥ずかしいね……

アレア:……

ぷるぷる:あらためて、私はぷるぷる……ううん、私、プルル・アルマです。今後とも、よろしくお願いします……ね?

アレア:よろしくプルル・アルマ。うちへようこそ。

エニア:ぷるぷる! あんたでかい顔するんじゃないわよ!! 姉さんファミリーの中では一番下なんだから! 私のことは女王様とおよび!!

セイ:去年のウルに引き続いてまた一人増えたわけね。つーか、姉さんファミリーって何(;´Д`)?

アーシィ:わーい!! ぷるぷるだー! 私も先輩なんだから、ソンケーしなきゃだめだぞ!!

アレア:ぷるぷる。あそこのドS魔女に近づいちゃだめよ。悪影響しかないから。エニア! ぷるぷるに変なことしたらただじゃおかないわよ!! 私の友達から預かってる大切な子なんだからね!!

エニア:(;´Д`)アレー……?

セイ:アーシィもだぞ。変に先輩風吹かせても、お前に尊敬される要素なんて何もないんだから。今日の朝ごはん、何食ったのか言ってみろ。

アーシィ:え!!? えっと……きょ、今日はその……待って! 今思い出すから!!

ぷるぷる:(;´Д`)寝坊してさっき学校についたんだから、朝ご飯なんて食べてないんじゃ……?

アーシィ:ああ! そうよ!! 私ご飯食べてない!! セイ君! ご飯!!!

セイ:……

アレア:ごめんね、セイ君……うちの妹が……

セイ:もう慣れたよ……

デス:さて、これにて学校の一年は無事に終わり、新たなる年に向けて、新しい日々を刻み始める。それをみとどけるのはそなたかもしれん。それ以外のものかもしれん。だがしかし、忘れるでないぞ。この学び舎で知ったもの、学んだこと、得ることの出来た友……すべて、それはそなたの血肉となり、明日を生きるための糧となるだろう。すべて活用し、命尽きるまで前を向いて生きるがよいだろう。その人生の結末が来るときならば……余は喜んで迎えに行こう。

ぷるぷる:みんなありがとう! お勉強頑張ってね。アミスの言うこと、ちゃんと聞いてあげてね。来年は、みんなが先輩なんだから!

ぷるぷる:アミス……今までありがとう。これで終わりじゃないよね。だから……行ってきます!

アミス:行ってらっしゃい……私の、最高の生徒……!

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終わり
by sei_aley | 2013-02-04 01:40 | ECOショートストーリー

by sei_aley