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月明かりの射す静かな庭

noblemoon.exblog.jp

ECOのフリージアサーバに生息中。現在の企画→ECO小説<運命の赤い糸>

次元を超える城 後編

リリちゃん、空気読んで。

そう思った回。紺だけ人がいる中で、もっともDEMを嫌悪しているだろうクリステンを指名するとは貴様、ふざけているのかと。まぁ、そこはイベント的に仕方のないことなんでしょうけど……


メインイベントは、基本的にクリステン君と永久奈ちゃんのことがメインです。

SAGA14からはシラネ。






次元を超える城 後編


○数年前のマイマイ遺跡にて

アレイ(セイ・アレイ):……マイマイ遺跡で暴れてるって言うのはお前か?

?????:……あぁ? なんだ、お前ら?

アルシア(冒険者時代):何コレ……DEMが全滅……? 一体何体いるのよ……!?

?????:何か、文句でもあるのか?

アレイ:マイマイ遺跡は保護も叫ばれている『遺産』ってヤツだぜ。あんまり派手に暴れると困る連中がいるみたいなんでね

?????:うるさいな。俺の知ったことじゃないね。DEMは敵だろ? 敵は殺せばいいんだ。そうすれば丸く収まる。

アルシア:……あまり褒められた考え方じゃないわね。確かにドミニオン界はDEMと戦争しているんでしょうけど、どちらかが全滅するまで戦いを続けていたら、永遠に戦争は終わらない。無意味よ。

?????:……あー、うるさい。そういうのは嫌いだ。ごちゃごちゃ言うなら、お前らも、そこのでく人形と同じにしてやるぜ……!

アルシア:アレイ……どうするのよ? 向こうは本気よ……!?

アレイ:アルシア、下がってろ。俺がやる。お前が暴れたら本当にマイマイ遺跡が消滅しちまう。

アルシア:……アレイ! まったくもう……勝手にしなさいよ!

?????:誰も俺の邪魔はさせない。特にお前はむかつくな、タイタニア。すかした顔してんじゃねーぞ!! ぶち殺すぞ、おまえらああぁああ!!!!!

アレイ:出来るものならやってみろ! 根性、叩きなおしてやるぜ!!!!



○アイアンサウス、大工場にて

クリステン:マザーから貰った部品でエンジンは完成したそうだ。

エミル:こっちも、タイタニアドラゴンからもらった飛空石で外観は完成だよ!

マーシャ:ということはようやく……

ベリアル:ああ、ついに……

タイタス:コレでようやっと……

ルルイエ:飛空城の完成ね!!!!

永久奈:(*´▽`*)ワーイ

エミル:早速入ってみよう!


○エミルの飛空城にて

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永久奈:ひろいですねー! 飛空庭とはやっぱり違いますね。

クリステン:昔は戦艦として使われていたぐらいだからなぁ

永久奈:でも、うちの庭より全然狭いですね

クリステン:(;´Д`)いや、神崎家の庭と比べたら酷だろう。いまだに、あの家の庭がどれだけの広さなのか知らないんだが。

永久奈:えへへー、私もよく分かんないぐらい広いですよね。

クリステン:ECO☆108のライブやっても全然大丈夫そうだよな

永久奈:……クリステンさん、まだあんなアイドルグループを……

クリステン:さ、さて! 中に行くか。エミルたちはもう中に入っているみたいだぞ!

永久奈:あー! 待ってくださいよ!! もしかして、まだどこかに写真集とかプロマイドを隠し持っているんじゃないでしょうね!!!

クリステン:ほらほら、早くしないと置いてくぜ

永久奈:待ってくださいよー!!!


○コクピットにて

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リリ:あ、クリステンだ!

クリステン:ん……お前、解放されたのか

エミル:うん、タイタニアドラゴンのところに行ったときに合流できたんだ

永久奈:あ、リリちゃん! 良かったね!

リリ:もう、永久奈おねえちゃんも迷子になっちゃだめだぞ。

永久奈:(;´Д`)え?

マーシャ:アハハ……リリちゃんの中では、私たちのほうが迷子になってるって認識みたいなの……

クリステン:フン、勝手なもんだ。

永久奈:まーまー、クリステンさん。大人気ないですよ。可愛いじゃないですか♪

クリステン:……

リリ:で、どこに行くんだ?

エミル:ティタを助けに行くんだ! ようし、ついに出発だ!!

タイタス:ん? ちょっと待て、おい……

エミル:エンジン始動!!

クリステン:ほほう、まだアレから日も経っていないのに、もう動くところまで仕上げたのか? さすがだな、大工場の連中は。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


永久奈:……明らかに、不具合っぽいエンジン音ですが、大丈夫ですか……?

エミル:あ、あれ!? なんかおかしい!?

タイタス:おかしいに決まっているだろう!!! お前はさっき大工場の人たちに言われたことを忘れたのか!! まだ試運転が終わってないから、始動はちょっと待てといわれただろう!!!

エミル:え!? そういうことだったの!!!?

クリステン:永久奈、こいつ殴れよ、もう。

永久奈:(;´Д`)いやえっと……うん、殴りたいですけどね……

エミル:(;゚Д゚)ΣΣ

クリステン:まぁ、馬鹿な茶番はいいからさっさと停止しろ。エンジン自体が壊れたら、もう直せないぞ。

エミル:で、でもとまらないんだよぅ!!!

リリ:エンジンにエネルギーが逆転しているから、停止シーケンスに入れない。このままだとエンジン内部にエネルギーが集まりすぎて爆発する。

マーシャ:ええええええ!!!!? それってどうなるの!!?

リリ:次元を超えるぐらいのエネルギーだもの。暴発したら、アイアンサウスが消し飛ぶくらい? かな?

ベリアル:エミルウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!! どうにかして止めろ!!!! 俺たち、大犯罪者になるぞ!!!

ルルイエ:その前に天国行きよ!!!


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ルクス:リリ! 大丈夫か!!

エミル:あ! 君は!!

リリ:ルクス! エンジンにエネルギーが逆転してる! きっとどこかの配線が逆についてると思うの。

ルクス:エンジン運転中では配線のつなぎ直しなど無理だ。昔のシステムだからフェールセーフも完全じゃないんだろう……エネルギーの逆転を防いでいる間に停止シーケンスに移行させるしかない。エネルギーの操作は僕がやるから、リリは停止シーケンスへの移行を続けろ。

リリ:分かった。

クリステン:……

リリ:クリステン、ルクス一人じゃ心配……クリステンも付いていってあげて?

永久奈:リリちゃん……あの、それなら私が……

クリステン:永久奈はココにいろ。いいよ、俺が行くから。

永久奈:クリステンさん……大丈夫ですか?

クリステン:無駄な心配だな。さっさとエンジンを止めてくるから待ってろ。

永久奈:……はい


○エンジン室にて

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ルクス:何しにきた?

クリステン:お前が失敗しないように監視に。

ルクス:ふん、ここにはリリもいるんだ、失敗などするものか

クリステン:機械人形がいっちょ前に家族ごっこか……虫唾が走るな

ルクス:……そういえば。

クリステン:ん?

ルクス:貴様にはまだ礼を言ってなかったな。

クリステン:何のことだ?

ルクス:母様を助けてくれただろう? あの時は助かった。感謝している。

クリステン:……

ルクス:僕たちには、母様しかいないからな……

クリステン:……

ルクス:さて、無駄話はコレぐらいにして、さっさとエンジンを止めるか。

クリステン:どうするんだ?

ルクス:エネルギーのベクトルを逆転方向から正常状態に変換して、停止シーケンスに移行できる条件を整える。停止シーケンスに移行すれば、エネルギーの供給もとまり安定するはずだ。


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ルクス:ぐ……さすがにすさまじいエネルギーだな

ルクス:だが、ここでいろいろなものを終わらせるわけには行かない……リリもこの世界も僕たちも、まだこれからなんだ……!

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リリ:ルクス!? それ以上は危ない!

ルクス:(リリ……お前ならきっと……)

クリステン:……(アイツのエネルギー自体がまったく足りてないな。どっちかというと、城のエネルギーがばかげてるって感じか)

クリステン:はいはい、交代交代。

ルクス:な!?

クリステン:まったく見てられないぜ。よくもまぁ、その程度で『エンジンを止めてやる』なんてほざいたもんだ。

ルクス:馬鹿! やめろ!! DEMでもない貴様が、このエネルギーに耐えられるわけが……!

クリステン:大地と水の加護を持て、我が呼び声に答えよ……アースオーラ、ウォーターオーラ

ルクス:……そうか、オーラで身を守って……!

クリステン:(サンダーストームの電気量を使って回線を麻痺。システムダウンまではいかねーが、これでエネルギーの増加は抑制できる。その間に、ガトリングブレイズでエネルギーの密度を変えて混線させるか。流れがよどんだところで、ラースで一気に流れを戻せる)

クリステン:(急げ急げ、オーラの時間は30秒しかない……ち、やっぱり間に合わん)

エミル:……クリステン! 早く!! もう持たないよ!!

クリステン:……好き勝手言ってくれるぜ。しかたねぇなぁ……スピードエンチャント。

クリステン:(コレで詠唱は大分スキップできる。さらに……)

クリステン:我が言の葉借りて力持て……ゼン!

クリステン:(コレでいける……)

クリステン:四方の王の力持て、我が呼び声に答えよ……エレメンタルラース!!!!





ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




○エミルの飛空城、医務室にて

クリステン:……ん?

永久奈:あ、クリステンさん! 大丈夫ですか?

クリステン:永久奈……? ここはドコダ……?

エミル:飛空城の中だよ! 目がさめて本当に良かった!

タイタス:……まったく、無茶をする

マーシャ:でも、クリステンが無茶をしてくれなかったら今頃……

リリ:アイアンサウスがなくなってた。クリステンはすごい。

クリステン:……アイツはドコだ?

リリ:ルクスか? ルクスならもうどこかに行った。伝言がある。『助けてくれたことは感謝するが、無茶はするな』だそうだ。

クリステン:ち……

永久奈:そうですよ! クリステンさん!! いくらクリステンさんが強いからって、あんまり無茶はしないでください!

クリステン:うるさいなぁ。どっかの空ネコみたいにうるさいこというんじゃねーよ。

永久奈:いえ! 今回ばかりはちょっと怒ってます! クリステンさん、前々から言おう言おうと思っていたのですが、クリステンさんは無茶しすぎです! ドミニオン界でもそう!! DEMさんが絡んでくるとクリステンさんはすぐに暴走して無茶なことを……!!

クリステン:あー、うるさいうるさい。

永久奈:あー! ちゃんと話を聞いてください、大事なこと……

クリステン:お前が俺の心配するなんて百年早いんだよ。でしゃばるんじゃないよ、部下の癖に。

永久奈:部下だからダメってなんですか、その理屈! まったくクリステンさんは……クリステンさんと一緒にいると、寿命が縮みっぱなしです!

クリステン:フン……そんなに嫌なら、もうそろそろ家に帰ったらどうだ?

永久奈:……え?

マーシャ:……

クリステン:もういいだろ。俺もいい加減、お前のお守りをするのは疲れてきたんだよ。

ルルイエ:ちょっと、クリステン……!

マーシャ:ルルイエ、ちょっと抑えて……

ルルイエ:マーシャ?

永久奈:……クリステンさん……そんな、私は……私、頑張りますから! だから……

クリステン:はぁ……そういって可愛い子ぶっていれば、いつまでも俺が我慢してくれると思ってんじゃねーぞ?

永久奈:そんな、私はそんな……

クリステン:分かってるのか? お前はあの『神崎家』の長女なんだぞ! 本来、こんな危ない場所で冒険なんぞしている身分じゃないんだよ!

永久奈:……

クリステン:お気楽お嬢様のお前に! 俺の苦労が分かるって言うのか!? アルシアからお前を預けられたときからずっとそうだ! お前が危ない目に会う度に、それこそ俺の寿命が減ってってるんだよ!! 万が一にでもお前が死んでみろ!! 神崎家とアルシア……ひいては中央との関係はズタズタになる! そうなれば世界危機だ! なんたって、世界の食糧事情の半分を掌握しているのは神崎家だ! あそこの機嫌を損ねたら、この世界じゃ食い物さえ手に入らなくなるんだよ!!!

永久奈:……

クリステン:家に帰れ。もう十分楽しんだろう。お守りはもうたくさんだ。

ルルイエ:もうだめ! 我慢できない!! クリステンちょっと!! あんた永久奈ちゃんの気持ちも考えなさいよ!! 何よ、自分の弱さを

永久奈:やめて!!!!!!!!!

ルルイエ:……永久奈ちゃん……?

永久奈:やめてください。クリステンさんの悪口を言ったら、私怒ります。

ルルイエ:……

永久奈:分かりました。帰ります……そう、ですよね。私はやっぱり、『神崎永久奈』だから、仕方がないですよね。

クリステン:……

永久奈:エミルさん、飛空城……アクロポリスまで移動できますか? 送っていってもらえると助かるんですが。

エミル:あ、うん……次元を超えなければ、エンジンを動かす必要はないはずだから……エミル界の中だったら移動できるはずだよね?

タイタス:そうだな。可能だろう。

永久奈:じゃ、お願いします……あの、クリステンさん。

クリステン:……

永久奈:今まで本当に……ありがとうございました。




○数年前、マイマイ遺跡にて

?????:くそ……何なんだ、お前らは……

アレイ:ふー、さすがにDEMどもを蹴散らすほどだな。なかなか強い。

アルシア:もう……まったく心配させるんじゃないわよ、この馬鹿!

アレイ:いって! 殴ることないだろ!

?????:……

アレイ:さて、気が済んだか? DEMを倒すためとはいえ、あんまり無茶に暴れるのは良くないぜ

?????:けっ……自分の世界に閉じこもっているタイタニアが、偉そうなことを言うな……

アレイ:まぁ、否定はしないが。要約するとあれだ、他人に迷惑をかけるなよってことさ

アルシア:え? お前が言うなよ? そう突っ込んでほしいの?

アレイ:(;´Д`)

?????:……そうか、お前らが……あの『白銀』か、最近有名な……

アレイ:まぁ、そういうことだ。とにかくお前、もう暴れるんじゃないよ。よし、コレでクエストクリアだな。

アルシア:まぁ、暴走を止めたってことでクリアかしら……あんたも、本当に無茶はダメよ。故郷を救うためって言っても、貴方がボロボロになったら意味がないんだから。

?????:……大きなお世話だ、くそったれ……

アルシア:……分かるときが来るわ。そうね……貴方にも、守るものが出来れば……きっとわかるわ。

アレイ:あれ? それってつまり、お前にとって俺が『守るもの』なの? え? 逆じゃね?

アルシア:う、うるさいわね!! いいじゃない!! ほら、もう行くわよ!! 何ニヤニヤしてんのよ、殴るわよ、馬鹿!!!

アレイ:いってー!! もう殴ってるし! まったく乱暴だな、お前は!!

アルシア:うるさい!! 次はなんだっけ……もう一つ、ココで仕事があるのよね?

アレイ:ああ、なんだっけ……そうだ、モンスター狩りだ。何でも、凶暴なモンスターが、討伐に行った冒険者を返り討ちにしているとか。ネコマタだけが戻ってきたって話だな。

アルシア:じゃ、まずはそのネコマタに会いに行くね。

アレイ:ああ、そうだな

?????:(……守るもの、か……)


by sei_aley | 2011-07-21 13:37 | ECOショートストーリー

by sei_aley